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生産現場からみた真の“見える化”に向けたHMIの進化と役割

VEC*1) 村上 正志
2005年3月

キーワード「HMI/MES/Info Path」

1.はじめに

工場でのニーズの多様化が進むに連れて,PLC計装でのHMI(Human Machine Interface)の役割は,ますます大きくなっている。その典型的なニーズが「見える化」であり,これはソリューションのキーワードでもある。

見える化といっても,工場の現場設備の動きをアニメーション機能を駆使して表現することが今までのHMIであった。しかし,見える化(可視化)と一言で言っても,工場を構成する部署によって見たいものが異なり,見るタイミングも異なり,マネージメントのレベルも異なっているが故にHMIに求めるニーズが異なることに眼を向ける必要がある。では,どのように異なるかを具体的に挙げてみる。

  1. 「観える化」
    工場経営にとっては,全体が見えていることが基本であって,法的な報告書や連絡などの責務を担当している。全体を見渡して,どこからも異常の狼煙が上がっていないことを確認し,もし狼煙が上がれば,それがどのような位置づけの問題であり,即時どのような指示が必要で,どのタイミングでどのような法的対応が必要かを判断しなければならない。
  2. 「見える化」
    生産現場の運転員や装置のオペレータ,品質管理部門の検査担当,生産管理担当にとって,見えたら直ぐにアクションをとらなければならない部署だけにリアルな情報を扱う。当然,運転員(作業者)の制御に関わるところは,運転員(作業者)の思考パターンに合わせて,把握しなければならない制御要素を即時理解できるように表現したHMIとなり,さらにレスポンスが重要である。つまり,担当が対応する作業は,時間制限が条件に入っており,これが重要視される。
  3. 「視える化」
    生産技術,生産管理,品質保証,設備保全の担当は,品質データの傾向を見て品質レベルの傾向を監視したり,生産時間の計測を行って生産効率を見直したり,装置の生産稼動効率を見ながら装置そのものの寿命を想定したり,改善課題を探したり,とそれぞれの目的で現場の情報を取り上げていく。
  4. 「診える化」
    生産技術,設備保全の担当は,装置の故障やシステム上のアラーム現象を捉えて,いろいろ調べて治すための判断をして対処していく。ここでは,細かいサンプリング周期でのトレンドデータや映像情報や音声情報も扱いたい作業である。また,時間系列で動作のタイミングを調べたり,過去のデータとの特性比較をする場面も出てくる。当然,HMIの画面表示と操作経歴の再現タイミング情報も重要な要素となってくる。
  5. 「看える化」
    設備保全の担当は,日頃,設備の調整をしたり,部品の交換をしたりして,設備が使用できる期間を可能な限り延ばしながら,生産能力の維持に努力している。定期点検時には,設備のリフレッシュ化を計画的に推進していく。
これらの「見える化」課題に対して,HMI設計エンジニアは,生産現場のデバイスの情報をネットワーク上につなげて,見える環境を整備し,それぞれの仕事の目的にあった,使いやすくてわかかりやすいHMIの画面設計や機能設計を行うことになる。

そこで,システムインテグレートは,顧客に言われたことをそのまま設計するというやり方ではなく,現場の実態を調査して,改善の目的を理解し,真のニーズに合ったHMI設計を行うことが肝要となる。

さらにベンダが考慮しなければならないことは,生産現場に携わるユーザがユーザ自身で現場の改善が行えるようにHMIの画面変更や機能設計変更ができるように,オペレーション習得が容易で使いやすいエディタを用意することが求められる。具体的には,それぞれの部署が必要とする業界別に特色があるパーツやパレートを揃えていくという動きになるであろう。

以上のことを踏まえて,これからは生産現場のHMIの役割をユーザとベンダが円卓を囲んで一緒に考えていくべき時代ではないだろうか。

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