計装Cube31
計装機器を巡る現場エピソード
編集部2008年6月号
キーワード「フィールド/経験/トラブルシューティング」
エピソードH調節弁-「 固有流量特性と有効流量特性 」
高圧蒸気から低圧蒸気へのカットインバルブのような差圧一定のサービスでイコールパーセント特性の調節弁を採用したところ,制御性が不安定になった。
コントロールバルブに関する文献・テキスト(あまりないですが)を読むと,たいていはまずバルブの種類が取り上げられ,そしてバルブの固有流量特性について解説されています。
コントロールバルブの容量係数Cv値は「バルブがある開度において,圧力差を1psi,温度60°Fの水を流し,そのときの流量が米ガロン/minで表したもの」で,このCv値は弁開度と相関があり,弁開度とCv値が比例しているのが「リニア特性」で,対数的に変化する−つまり小弁開度の時はCv値変化も小さく,大弁開度になるにつれてCv値変化も大きくなる−を「イコールパーセント特性」,その逆が「クイックオープニング特性」としています(図1)。
プロセス制御においては,イコールパーセント特性のコントロールバルブの使用がもっとも多いと言われています。なんだか,リニア特性の方が制御的にはふさわしい気がしますが,実際には,イコールパーセントの凹形特性は配管や機器の圧力損失の影響(凸型特性)などを受けるため,その両者の合成である有効流量特性はリニアに近づきます(図2)。固有流量特性は差圧一定を条件とした特性ですが,プロセスの多くは差圧が一定ではありませんので,イコールパーセント特性のコントロールバルブが多く選定されるというわけです。
ここでのエピソードではプロセスではめずらしい差圧一定であったにもかかわらず,いつものようにイコールパー
セント特性のコントロールバルブを使用して,問題が起きてしまった事例でした。基本的なことですが,プロセス特性に合わせて機器を選ぶことの大切を教えてくれるエピソードです。
〈引用・参考文献〉
・深町一彦:「これだけは知っておきたいコントロールバルブ」,『inフィールド』,2001年冬号
・大庭 丘:「コントロール夜話」,計装Cube
- エピソード@オリフィス流量計―-「プラントは脈動している」
- エピソードAオリフィス流量計―-「気体の温度圧力補正」
- エピソードBオリフィス流量計―-「ゼロ点誤差の思わぬ影響」
- エピソードC渦流量計―――――「逆流でも渦は発生する」
- エピソードD渦流量計―――――「振動に注意!」
- エピソードEレベル計―――――「超むずかしい粉体レベル計測」
- エピソードFレベル計―――――「ダイヤフラムの腐食対策」
- エピソードG温度計――――――「カルマン渦による温度計保護管の折損」
- エピソードH温度計――――――「吸引式温度計によるガス温度計測」
- エピソードI調節弁――――――「同じグローブ弁でも…内弁の選定」
- エピソードJ調節弁――――――「固有流量特性と有効流量特性」


