計装Cube53 運転改善への“現場力”の向上と実践
模擬プラントを用いた運転スキルの抽出と伝承に関する実験的検討
岡山大学 五 福 明 夫
2009年11月
キーワード「特別記事/運転支援/操作」
石油産業や化学工業界においては,操業時から運転に携わり安定運転を確立する過程においてさまざまなトラブルを経験した熟練運転員が退職する時期となり,世代交代が始まっている。一方,コンピュータ技術の発展によりプラント運転における自動化範囲が拡大し,またプラント構成機器の信頼性が向上している。これらはプラントの安全,安定運転に大いに貢献している。しかしながら副作用として,若年運転員のトラブル経験やプラント操作の機会が減少することとなり,運転スキルの低下が危惧されている。このことから,運転スキルの抽出,表現と若年運転員への伝承が必要であると考えられている1)。同様の問題は製造業においても認識されており,技能の技術化と伝承方法の確立が検討されている2)。
著者らも運転スキルの抽出と伝承に関して,以下の問題意識の下で実験的検討を進めている。すなわち,
・定義:運転スキルとは何か?
・表現可能性:運転スキルは表現できるか?
・表現形式:運転スキルはどのように形式化できるか?
・完備性:運転スキルは運転上必要な知識や技能をカバーしているか?
・伝承方法:どのように運転スキルを伝えていくか?
である。
これまで,運転操作盤を通してのプラント運転におけるスキルに関連して,熟練者が注目するプラント変数の教示が運転操作の習熟に及ぼす効果と,経験的に注目する操作盤上のプラント変数の意味について,模擬プラントを用いた被験者実験により検討してきた3,4)。本稿では,それらの実験的検討の概要と得られた知見について紹介する。
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